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精神医学と精神異常の歴史。うつ病と『解釈』。

昔精神病は、罪人扱いされていたって本当?

本当です。

かつて精神異常者は、中世まで、医療の対象とはならず、悪霊や精霊の仕業とされ、神秘性や当時の宗教観に支配されていました。古代ギリシャでは、ヒステリーは子宮の病気とされ、中世ヨーロッパでは、精神障碍者は『神により罰を与えられた人』等の扱いを受けていました。

先生

酷い話だね!精神障害は悪霊の仕業とか、罪人扱いって!だけど、その時代その時代に蔓延している常識があるからね!人間はその常識に大きく影響されるんだ!
更に詳しく知りたい人は、以下の記事を見るっす!

ハニワくん

間違っていた解釈

精神医学は大きく分けると、以下の3つに分けることが出来る。

 

3つの精神医学
  • 身体的療法
  • 精神療法
  • 社会療法

 

 

身体的療法には、治療薬を用いる薬物療法と、電気ショックやロボトミー(脳の前頭葉の一部を切断する手術)などの外科的治療を行う非薬物療法がある。だが、後者は大きな後遺症の発生や人道的な問題から廃止された。

 

精神療法は、フロイトが創始した精神分析(療法)である。治療者が患者に言葉などで働きかける療法。カウンセリングに近い。

 

社会療法は、病気が長期化することで失われた各種の生活能力などを取り戻し、患者の社会復帰を実現、促進させるリハビリを指す。

 

かつて精神異常者は、中世まで、医療の対象とはならず、悪霊や精霊の仕業とされ、神秘性や当時の宗教観に支配されていた。古代ギリシャでは、ヒステリーは子宮の病気とされ、中世ヨーロッパでは、精神障碍者は『神により罰を与えられた人』等の扱いを受けていた。

 

中世の西洋では、迷信から精神障碍者が魔女狩りの犠牲となって火あぶりにされたり、他の重病患者などと一緒に収容院に強制収容され、鉄の鎖でつながれて監禁されていた。

 

 

とんでもない話だ。これを聞いたとき、『現代の人間』は、すぐにそう思うだろう。だが、『過去の人間』はそうではなかった。

 

ドイツの哲学者、ニーチェは言った。

 

人間はただその都度その都度、蔓延している常識と照らし合わせ、解釈を変えていくものなのである。その証拠にその後、『近代精神医学の父』、Ph.ピネルによって、『精神病者は罪人ではなく、治療を受けるべき病人』と判断され、彼らは鉄鎖から外された。

 

つまり、もしかしたら『祟られた人間⇒治療を受けるべき病人⇒???』ということで、いずれまた違う解釈が登場し、状況はより真実に近づき、改善されていくのかもしれない。

 

第二次世界大戦後、薬物療法が登場して、閉鎖病棟での入院治療から、通院治療へと治療の場が移っていった。この『向精神薬』の誕生は、1952年にクロルプロマジンという薬の抗精神病作用が発見され、その後さまざまな薬に結びついていった。

 

 

先生

精神病者が在任扱いされたり、悪霊や聖霊の仕業だと思われていた時代があるなんて、現代の人は信じられないよね!だけど、僕も総合失調症の叔父を持つ身としては、もし知識がない時代に彼を見たら、『呪われた人 』と判断するのも無理はないかも!
特に、呪いや悪霊が常識として蔓延している時代なら、尚のことそう結びつけるかもしれないっすね!

ハニワくん

この章のまとめ
  • 3つの精神医学を確認する。
  • かつて精神異常者は、中世まで、医療の対象とはならず、悪霊や精霊の仕業とされ、神秘性や当時の宗教観に支配されていた。
  • 『近代精神医学の父』、Ph.ピネルによって、『精神病者は罪人ではなく、治療を受けるべき病人』と判断され、彼らは鉄鎖から外された。

『認知の歪み』を認知行動療法で改善することの重要性

精神障害は、精神の異常や偏りを総称する広い概念である。精神病は、一般に精神障害よりも重度であり、幻覚や妄想など、奇妙な症状を示すものを指す。従って精神病は、精神障害の一部である。

 

その精神病の代表は、総合失調症(精神分裂病)や躁うつ病がある。一方、神経症(ノイローゼ)や人格障害、心身症、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、多重人格などは精神障害だが、精神病ではない。

 

 

気分がふさいだ状態、すなわち鬱状態を『メランコリー』という。古代ギリシャの医師ヒポクラテスは、精神の病を『メランコリア』と『マニア』とに区別した。マニアとは、気分が高揚した状態、すなわち躁状態をさしたが、現在とは異なる概念である。

 

気分の落ち込み、いわゆる鬱状態(抑うつ状態)は誰もが経験するものである。失恋や仕事上の失敗、肉親との死別など、多くの悲しみに遭遇し、気分が落ち込む。うつ病はこれが深刻になり、激しい悲哀感や虚無感が続き、物事をすべて悲観的にとらえる。さらに、絶望感や罪悪感にさいなまれ、希死念慮を持つことも多い。

 

しかし、その希死念慮だが、それは単なる『無知』による誤謬なのかもしれない。なぜなら、この世には同じような状況にあっても、死を望まない人がいるからだ。むしろ、自分よりも悪い境遇にある人が、死を望まないケースもある。どうせ死ぬのに、わざわざ自ら死を選ぶ必要はないからだ。

 

 

何らかの『解釈』の誤謬(間違った判断)で、絶望感や罪悪感にさいなまれ、希死念慮を持つ。それは本当に『正しい』のだろうか。もしかしたら、かつて当たり前のように蔓延していた『魔女狩り、悪魔、生贄』等の類同様、馬鹿馬鹿しい誤謬から生まれた、『歪んだ解釈』なのかもしれない。

 

先生

『無知』による誤謬に、歪んだ解釈。まさしく、『認知の歪み』という概念が存在していて、うつ病を含めた様々な精神疾患を持つ人は、この歪みを矯正することが問われているよ!それを認知行動療法っていうんだ!
以下に、2017年3月に出た最新情報を掲載するっす!

ハニワくん

うつ病に認知行動療法…治療終了から1年後、7割が「無症状」

 

読売新聞(ヨミドクター) 3/27(月) 11:01配信

 

うつ病に認知行動療法…治療終了から1年後、7割が「無症状」

薬が十分効かなかった中等度のうつ病患者に対し、医師らと面接を重ねて悲観的になりやすい考え方の癖を変えていく認知行動療法を行うと、治療終了から1年後、7割がほぼ無症状になった、との研究報告を慶応大学のチームがまとめた。

 

治療終了直後よりも改善率が高まったという。

 

研究対象は、抗うつ薬を2か月間飲んでも中等度のうつ病が改善しない20~65歳の患者80人。うち半分は薬物治療のみを継続、もう半分は4か月間、薬物治療に加えて週1回45分の認知行動療法を受けた。それから1年後まで定期的に、うつ病の重症度を調べる心理検査を行い、比較した。

 

その結果、認知行動療法を受けたグループでほぼ無症状になった人の割合は、認知行動療法のプログラム終了直後が43%。その後も徐々に高まり、1年後に73%まで上昇した。

 

一方、薬物のみのグループでは研究開始4か月後が20%。その1年後は43%だった。

 

うつ病は時間とともに改善することもあるが、認知行動療法を受けた方が改善率が高かった。慶応大学病院の中川敦夫特任講師は、

「患者さん本人が、考え方や行動の幅を広げる技術を学ぶと、治療終了後も日常生活でそれを生かし、改善が続くのだろう」

 

と分析している。

この章のまとめ
  • 精神病は、一般に精神障害よりも重度であり、幻覚や妄想など、奇妙な症状を示すものを指す。
  • 気分の落ち込み、いわゆる鬱状態(抑うつ状態)は誰もが経験するものである。
  • 希死念慮は単なる『無知』による誤謬なのかもしれない。